マンションの売却価額を値下げするタイミングとポイント

みつおパパ
は~。マンションが全然売れないよ。そろそろ値下げを考えないといけないのかな。
ななみママ
そうね、私たちはお金が欲しいわけじゃないけど、少しでも次の資金にしたい思いもあるわよね。やっぱり今の価格は高かったのかしら?
岩谷せんせい
マンションの価格は常に動いています。そして価格を決める要因は1つではなく、目に見えるもの・見えないものが存在し、必ずしも査定額通り売れていくわけないのが現実です。その際、必ず「値下げ」というタイミングがやってきますが、ただ闇雲に値下げをしても売れていかないのがマンション売却の難しいところなんです。

マンションは値下げすれば売れるというわけではない

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買主が新築マンションではなく「中古マンション」を買う理由は何だと思いますか?

実はここの理解を売主として知っておかないと、いくら値下げをしても実際に売れる可能性は低いです。どんな小さなメーカーでも、必ずターゲティング・マーケティング活動を行い、「どんな人に買ってもらいたいか」というペルソナ設定を行います。それを不動産という大きな買い物をする人に対して行わないのは本当に大きな機会損失です。

実際に、同じマンション内で2つの物件が売りに出されていて、階数が低くて間取りも狭い部屋の方が高く売れたという事例はいくつもあります。これは別に購入者を騙しているわけではありません。つまり売れない理由は「価格」ではなく「売り方」にあるケースがほとんどなのです。

買主が新築マンションではなく中古マンションを買う理由

あなたが買主になった気持ちで考えてみてください。どうして新築ではなく中古のマンションを買うのでしょう?

・中古マンションの方が価格が安いから
・新築時から買おうと思っていたマンションでようやく空きができたから
・そのエリアに住みたいから(新築が立つ予定がない)
・そのマンションに住みたいと思っていたから

実際にアンケートを取ればもっとたくさんのニーズが出てくると思いますが、実は戸建てと違ってマンションは、買主にとっても「タイミング」で購入を決断されている方が多いのが現実です。つまり「買う時が来たから買った」という人。

最も購入理由として多いのが『そのエリアに住みたいから』という地域性を重視する方です。マンションを買おうと思っている人の多くは、実際にその地域に既に住んでいる方が多く、わざわざ遠方からやってくる方はマレです。

価格も確かに大事なのですが、実は大きな決定打にはならないのです。

値下げよりも先にやることがある

なぜマンションが売れないのか?値下げが必要だという結論に達するのか?

これは担当の営業マンにしつこく聞く必要があります。例えば、4000万という査定だったのに3500万まで値下げを提案された場合には、闇雲に500万下げるよりも、その500万で広告活動を行ったほうが実は効率的です。

現実に先ほどの例も、広告活動における結果が売却に結びついています。

人が購買行為を行う上では、価格は確かに重要なポイントになるものの、実は深層心理ではもっと前提で考慮に入れているものがあるのです。例えば、あなたの目の前に自動販売機があって、伊藤園のラベルが貼られた150円のお茶と、私の母が作った100円のお茶の2つが売られていたらどちらを買いますか?相当な物好きじゃないと前者、つまり「伊藤園」のお茶を選ぶはずです。

これが広告による力です。人がものを買う前提となるのは、価格ではなく信頼・安心・ブランドなんです。そのためにはどれだけ周知されているかという広告の力が求められており、価格は二の次。つまり伊藤園とサントリーが並んだ時に初めて価格を考慮にいれるんです。

不動産の売却活動においても同じです。マンションを買おうと思っている人に対して、色々な媒体を通じて何度も何度もその物件を見せることで、徐々に心の扉が開放されていくのです。

値下げは計画的に目的を持って行う

しかし値下げが全く不要というわけではありません。

事故物件は大幅な値下げが必要

事故物件に対する自己評価と、物件を買おうとしている人の評価は天と地ほど変わります。「事故物件」というだけでいくら値が下がっても買わないという人もいらっしゃいます。逆に事故物件に買い手が現れないのを知っていて、もっと値が下がるのを待っているという方もいます。そういう方に対しては値を下げてアピールすることも可能です。

売主のこだわりが強い

自分のマンションを一番良く知っているのは売主です。だからこそポリシーを持って値付けしている方が多いのですが、実はそれが市場に対して適正な価格かどうかというのは別問題になります。

査定価額の根拠では、「マンションの売却価額を決めるのは売主であるあなたです」とは言いましたが、明らかに市場の反映を無視した価格設定をされている方が中にはいらっしゃいます。価格のご提案として査定するのは仲介業者の仕事で、実際に決めるのはもちろん売主さんですが、査定価額も仲介業者がポリシーを持ってつけていることを忘れないで下さい。

買主の目線になって値下げを行う

「値下げ」自体も広告効果があります。インターネットなどで価格でソート表示している人にとっては、目に入り込む機会が増えます。しかし、購入を考えている買主というのは、定期的に見ているというよりも、ほぼ毎日物件を見ているので、何度も何度も値下げしていると逆に悪目立ちし、「この物件だいじょうぶ?」と内覧に来られる前に拒否反応を示されるリスクもあるのです。

更に、値下げは全ての不動産のポータルサイトでリアルタイムで反映されるわけではないので、値下げによるリアクションがどれくらい効果があったかを知るためには最低でも10日~2週間以上の期間を考慮に入れないと適正なデータが取れないのです。

「値下げ」はこのようにメリットだけではなく、時間的な効果のタイムラグや、買主の心理状況にも影響を与える「諸刃の剣」でもあるのです。特に、その値下げ物件を見て買主はどう思うか考えて実行するようにしましょう。安いのは確かに嬉しいのですが、安すぎるマンションもまた買主的には問題になることもあります。

値下げすることで買主の選択肢から外れることがある

マンションというのはある種のブランド性を持っていて、購入の判断として「◯千万以上」というソートをかけている方が多いのが特徴です。例えば500万円のマンションというのは、価格だけ見れば非常に安いですよね。ですが、それを「買いたいか」と聞かれればどうでしょうか。間取りに対してあまりに安かったり、近隣相場と比較して首をかしげたくなるような価格設定、またその買主の社会的な身の丈に合わない価格だと、いくら安くても選択肢から外れてしまうことがあるのです。

値下げと値引きは全くの別物

ここまでが値下げの決断に対するアドバイスでしたが、これ以降は実際に値下げを行う上でのやり方やポイントを解説していきます。

まず、前提として「値下げ値引きは全くの別物である」ということを覚えておいて下さい。値下げとは、大衆的な販売価格の値を下げることを言い、値引きとは個別のお客さまと価格交渉になったときに希望額へ調整していくことを言います。

値下げのワンポイント

先ほど「値下げ自体にも広告効果がある」とお話しました。しかしそれは値下げ額が販売価額の10%程度である場合に限定されます。

つまり、10万、20万という小さな額での値下げは何の宣伝効果もなく、誰にもその値下げが伝わりません。誰にも伝わらない値下げは値下げではなくただの損失です。どうせ値を下げるのであれば「この不動産の値が下がりました!」ということを伝えなければ全く意味がないのです。

4000万のマンションの値下げであるなら最低でも10%の400万以上値下げしましょう。また、スーモなどのマンションポータルサイトでは、マンションを探すとき500万単位で価格ソートして検索されます。

http://suumo.jp/

http://suumo.jp/

検索結果を価格順で並び替えたとき、この一番上に表示させるためにできるだけ500万の基準に近い数値に設定すると、表示される機会が増えていきます。画像の例だと4480万、4450万などに設定して表示すると、露出機会が増えます。どうせ値下げするならここまで深掘りして将来の買主に応えてあげましょう。

値下げを余儀なくされるケースもある

マンションの査定価格は取引事例比較法によって算出されます。その方法は、同一マンションの過去の取引実績や近隣マンションの取引実績を参考に算出します。その結果、仮に4000万円と査定されたあなたのマンションは、確かに過去の事例からその価格で売れる見込みがあるものです。

しかし、もし同一マンションの同一階の方が、「価格なんてどうでもいいからとにかくすぐに売りたい」と言って2500万円という破格の値段で売りに出したら、それが今後の取引事例比較法による「相場」になってしまうのです。これが必ずしも決定打になるわけではありませんが、少なくともその2500万のマンションが売れるまではあなたのマンションが売れる可能性は極めて低くなります。

こうなってしまっては時間がかかるのを覚悟するしかありません。売りに出してから分かるこうした問題について一喜一憂するのは消耗の元になります。ただ、この物件が売れるまでは広告の出稿を停止したり、余分な資金ショートを防ぐ対策を行いましょう。価格差がそれほど大きくなければ差別化を図り売りに出すことは可能ですが、ここまで価格が開いてしまった場合は「待つ」というのが一番の対策かもしれません。

マンション売却のシーズンに値下げする

マンションが売れる時期は1月~2月と、9月~10月です。

3月の転勤シーズンに、1月~2月に内事が下され不動産を購入する方が増える関係です。また子供が小学校に入学する時期に合わせて、子供部屋を作ろうとしてマンションの住替えを考える方も増えます。需要と供給の面でも不動産が一番多く動く時期なのです。

9月~10月は「秋売り」として新築マンションが大きく動く時期です。新築が動くということは当然中古も動きます。新築を見た結果、「やっぱり中古でいいや」と思う購入者は多く、この時期に合わせた値下げは効果的です。

値下げに向かない時期

12月は不動産業界全体が冷え込む時期です。不動産に限ってはボーナス時期に影響を受けません。またクリスマス需要も無関係ですから、客足が一気に冷え込むのです。

逆にこの時期を利用して、12月は適正価格に戻しておくというのも手です。値下げをしても広告を打っても無意味な時期なので、「何もしない」のが正解です。売れない時期は何をしても無駄。できるだけお金を使わず、来る需要期の1月までの販売戦略を練りましょう。1月に入った瞬間価格を下げてアピールするのです。

以上のように、値下げの全ては「タイミング」です。営業マンがどれだけこの点について注目して値下げの提案をしてくるかも是非チェックしてみてください。また冒頭も触れましたが、マンションが売れないのは「価格が高い」ことが全てではありません。売れない真の理由を突き詰め、その結果が「価格」であると自信を持って自分で判断できるときのみ値下げをして下さい。