マンションの査定価格の根拠は?机上査定と訪問査定はどちらも行う

みつおパパ
岩谷せんせい、マンションの査定価格ってどうやって算出されているんですか?会社の同僚に話を聞いたら、査定価格と実際の売却価額に500万円も差があったみたいなんです。これから売却を行う上で注意すべき点などがあれば教えてほしいです。
岩谷せんせい
査定価格と実際の売却価額が異なることは日常茶飯事です。不動産業者間の駆け引きや、営業マンのさじ加減、経験、会社の広告手法、社会的な背景など、めまぐるしく環境が入れ替わっているため、不動産には「相場」というものがそもそもありません。ただ、そこから大きく金額がずれることはマレなので、査定額はあくまで参考値として見るべきです。
みつおパパ
そ、相場がない??なんだかよくわかりませんが、詳しく教えて下さい!
岩谷せんせい
「相場がない」という意味は、査定をこちらが出しても結局売却価額を決めるのは売主さんになるからです。みつおさんの同僚も、「500万の開きがあった」と言っていますが、その価額に決定したのは不動産会社ではなく本人のはずです。その前提を踏まえた上でここからの解説を読んでいただければと思います。

マンションの査定価格はこうして導き出される!

mansion

査定価格の計算方法

マンションの査定価格は、原価法収益還元法取引事例比較法という3つの算定方法によって導き出されます。しかしそのどれもが完全ではありません。

この査定価格というのはあくまで「目安・参考」であって、ほとんどのケースにおいてこの査定価格通り売却されることはありません。

査定の精度が年々向上しているという印象も正直ありませんが、大きく外れるということもありません。ただ、1つの参考として不動産会社がどうやって価格を導き出しているのか知ることは、今後会話を進めていくうえでも有用となるはずです。

原価法(積算法)

原価法とは、売却を予定しているマンションを今現在同じように建設するとしていくらかかるかを算出する方法。具体的には、そのマンションの築年数・耐用年数によって現在の価値を割り出して算出します。

実際の現場ではほとんど使用されないため、覚える必要はありません。不動産鑑定士の試験や、学問的によく使われる計算方法です。

収益還元法

不動産から発生する収益や利回りをもとにその現在価値を算出する方法。投資用不動産の鑑定において使用されるため、住居用マンションの査定算定には使われません。従ってこれも覚える必要はありません。

取引事例比較法

類似物件の取引事例や、近隣物件、同マンション内の過去の事例などを参考に算出する方法です。最も簡単で最も実用性・信憑性のある算出方法。売主さんへも説明しやすく納得を得やすいため現場ではポピュラーに活用されています。

本サイトの解説も基本的に取引事例比較法を前提に解説しています。

取引事例比較法は便利だけど最も不完全な算出方法

最も売主さんが納得しやすく、最もポピュラーに使われている取引事例比較法ですが、実は最も欠陥が多い算出方法です。数字的根拠がまるでなく、そのすべてが「過去の取引結果の引用」によるため、実はもっと高く売れた・ここまで値を下げる必要はなかったということがままあります。だったら原価法を用いればいいじゃないか、という話になりますが、これもまた実務的に現実的ではないのです。

過去の取引事例が少なかったり、直近の取引事例が数年前のものだったりということもあり、時間的・社会的に不都合が多い方法なのです。これに対して何か対策をしろ、というわけではなく、欠陥があっての査定価格であるという事実を抑えてほしいのです。

机上査定と訪問査定

取引事例比較法による査定は、机上査定訪問査定の2種類の査定方法で行われます。

机上査定

机上査定とは、担当者が実際に物件を見ず、間取りなどの不動産の基本的な情報を元に価格を導く方法です。算出根拠は非常に曖昧で、この通りに売れることはまずありませんが、例えば一括査定サービスなどで数社から査定見積もりをもらって、実際の売却価額との差を見るとそんなに外れていないことも分かります。

あくまで参考値となりますが、数社から算出してもらうことで大体の目安を知ることができるのです。

また、不動産仲介会社のポータルサイト「レインズ」によって全国の取引事例をどこの不動産会社も見ることができるため、結局共有している情報は同じになります。同じ情報を見ているはずなのに査定値に価格差が生まれるということは、類似物件を売った実績や経験があったり、広告手法に自信があるなど、独自のパフォーマンスレベルに準じてあなたにアピールしているわけです。

従って、全てを鵜呑みにして「高いからココにしよう!」と選んでしまうと失敗するリスクもあります。

訪問査定

訪問査定は、実際にあなたのマンションを不動産の営業マンが見て査定する方法です。

マンションからの眺望・設備の状況・部屋の状態・水回りの管理・日当たりなど、細かい点までチェックして査定するため当然机上査定より信憑性は高くなります。通常は机上査定によって数社から査定額を算出してもらったあと、その査定額に信憑性のある会社に訪問査定を依頼する形になります。

机上査定だけで不動産会社を選んではいけない

「正直まだ売るかどうか分からない、でも売却価額は将来の目安のために知っておきたい。」という場合、訪問査定までしっかり選択して依頼するお客さまはいません。実際、依頼のほとんどは机上査定で、電話営業が怖い・実際に自宅に入られたら勧誘を断れないなどを理由に、訪問査定を選択される方は多くないのが現状です。

しかし、そもそも「今」売る気がない場合は無理して訪問査定を依頼することもありません。冒頭も解説しましたが、不動産の価値というのは月単位で変動するため、「将来のために」訪問査定として正確な売却価額を調査してもらっても、それは「今」の価額なので将来においてはほとんど役に立たないのです。ですから目安だけを知りたいという場合は、机上査定で十分なのです。一括査定なら数社の見積もりをいただけるので、ピンキリの価格を有りがたく頂戴しておきましょう。

逆に「今(1年以内)」売りたいという方は、“必ず”訪問査定まで行うようにして下さい。机上査定では分からない「眺望」は特に査定額に影響を与え、また不動産の売却はシーズンがあるため、のろのろしているとせっかくの売る好機を逃してしまうこともあるからです。「売ろう」と思った時はスピーディーに動き始めるのが得策です。

査定価格ではなく「売却方法」をヒアリングしてみよう

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査定価格は取引事例比較法によって、物件情報と実際に訪問して得た情報を元に導き出されます。しかし、その導き出された価格というのは、すぐにその価格で売れることを意味しているわけではなく、実際に売りに出してみなければ分からない数値なのです。

車やバイクの買取査定と違って、実際にその不動産を購入するのは仲介業者ではないため、今の段階では「絵に描いた餅」なわけです。

従って、机上査定だけの価額を見て、単純に「ここが一番高いから頼もう」というのは注意が必要なのです。不動産業者もそこまで読んで見積もりを出してくるため、数社に依頼したとき、明らかに査定額が高い会社や、聞いたこともない会社、ネットの評判や口コミが悪い会社は「切る」という選択も必要です。

幾つかに業者の選択肢が取れたら、その全てに訪問査定を依頼しましょう。そこから出された査定の根拠として「これからどうやって売っていくつもりなのか?」ということをきちんと説明できる会社にお願いしましょう。不動産という一生に二度と無い買い物を決断している方に対して、具体的な販売手法が無い状態では相当な人気物件でない限り勝手に売れていくなんてことはありません。

金額の根拠が具体的な販売手法に基づいたものであるか必ず確認し、査定額に対して一喜一憂するのは止めましょう。

売却価額を決めるのは仲介会社ではなく「あなた」

仲介業者は「査定額」をあなたに提示していますが、それはイコール「売却価額」ではありません。従って、実際に売りに出すマンションの査定が3000万で、あなたがどうしても4000万で売りたいという場合は、助言はするかもしれませんが基本的に仲介会社は断れません。

マンション(不動産)の売却というのは、車やバイク、ピアノなど買い手ありきの「買取」とは違って、あなた自身が実際に売っていかなければいけないものなのです。仲介業者というのはそのサポートや買主を見つけてくる代行を行ってくれるだけで、貴方自身の努力も必要になってくることを理解しておきましょう。

ただ、それも逆手に取って、仲介業者に頼らない方法で自分一人で売ってしまうというのもできます。現実的に難しいのですが、それくらいの心構えでないと、不動産というのは売れません。特に、「少しでも次の住居の足しにしたい」「資金が欲しい」という方は、仲介業者に依存し過ぎない、自分自身の売却活動も行っていきましょう。