

まずは相続登記しないと何も始まらない

「相続登記」とは、亡くなった方が所有していたマンションの名義を、相続人であるあなたの名前に変更することを言います。この相続登記には「◯年以内、△日以内に」といった期限が設けられているわけではないので、今回のようなケースにおいても何か罰則があるわけではありません。
ただ現実問題、ほとんどの相続物件において相続登記がなされていないため、不動産の所有者と事実上の居住者の名義が異なることは日本において日常茶飯事です。東日本大震災の時も、この相続登記がなされていないことで、所有者と被災された方の名義が異なることから多くの方が補助金を受け取れないということが問題になりました。
相続登記を怠ったまま、仮にあなたの弟が亡くなって、配偶者や子供がいる場合、あなた・弟の配偶者・弟の子供が相続人になります。相続登記に強制力はありませんが、このように権利関係が複雑になり、相続人が倍々ゲームで増えていってしまうことは往々にしてあります。東日本大震災の時はまさにこの現象がおきました。相続登記ではこの相続人に関する資料を全て用意しなければいけないため、相続人が増えると非常に大変な手続きになります。
相続登記しないとできないこと
相続登記をしないと、そのマンションの売却・賃貸・買取・抵当権の設定・抹消、その他手続きができません。
明確に規定されていませんが民泊もダメです。空き家の活用法として最近注目を浴びていますが、民泊は無法地帯なまま野ざらしになっているので、相続登記をしないまま活用されている方が多いと思います。「取り決めがないならやっていいだろう」という考えは絶対にやめて下さい。今後必ず制定されることになるでしょうし、きちんとビジネスとしてやられる方は早いうちに相続登記を済ませておいた方がいいです。
他人の所有物で甘い汁を吸っているにすぎませんのでやり方は泥棒と同じです。
相続登記にかかる費用
相続登記にかかる費用は相続した物件・土地によって異なりますが、次のようになります。
・登録免許税(固定資産評価額×0.4%)
・登記事項証明書(@600円)
・戸籍謄本類の発行手数料
・発送にかかる郵便代
・資料取り寄せにかかる郵便代
・司法書士に依頼する場合の報酬
一番大きいものが登録免許税です。評価額によって大きく変動しますが、仮に建物の評価額が1000万だとすると、1000×0.4%=4万円が登録免許税です。
さらに、この手続を司法書士に依頼すると。約5~10万円の報酬を支払わなければいけません。自分で行うと非常に面倒で複雑な作業になりますので、司法書士に依頼するのが一般的です。すると合計で10~20万円前後で相続登記が済む計算になります。
「ちょっとした手続き」という手頃な費用でもありませんし、やらなくても何も問題のない性質なので多くの方がそのまま放置してしまうんです。
相続登記をすれば売却できる?
相続登記を完了させれば売却・賃貸・買取・抵当権の設定など全て問題なくできます。
相続登記が済まされたということは、そのマンションの名義があなたのものになったことを意味するので、自己所有物として使用するも売却して手放すも自由に行うことができます。
相続税には期限があります
相続税の納期は相続を知った日から10ヵ月以内です。
恐らく、通夜や葬儀で様々な方と嫌でもお話になるので相続税のことについてお流れになることは無いと思いますが、相続登記と相続税については全く別であることを認識しておいて下さい。
国としては、相続税による収入は大きな財源の一つですし、今後の税収対策として相続税の値上げが最も現実的な対策として検討されています。従って基本的に逃れることはできません。また、払うものを払ったら手続きについてゆっくり話し合って下さい、というのが相続税法のスタンスです。相続税について期限があって、各種手続きについて期限がないのはこうした事情からです。